【note未記載!ここだけ】インバウンドのマナー違反!日本人の責任とは

オリジナル記事

訪日外国人旅行者が増え、観光地だけでなく、駅やバス、住宅街、飲食店などでも海外からの旅行者を見かける機会が増えました。

多くの旅行者は日本のルールや習慣を尊重しています。しかし、文化の違いや知識不足から、次のような行動が問題になることもあります。

  • 行列に割り込む
  • 電車やバスの中で大声で話す
  • ゴミをその場に捨てる
  • 禁煙場所でタバコを吸う
  • 私有地に無断で入る
  • 道路や通路を塞いで写真を撮る
  • 降りる人を待たずに電車やバスへ乗る
  • 撮影禁止の場所で写真や動画を撮る

もちろん、すべての外国人旅行者がマナーを守らないわけではありません。むしろ、日本の習慣を調べ、周囲に配慮しながら旅行している人が大半でしょう。

ただ、旅行客が増えれば、それに比例してトラブルを目にする機会も増えます。京都市の資料でも、観光客のマナー違反によって迷惑を感じた市民が一定数いることが報告されています。

京都市による観光課題に関する資料

では、目の前で明らかな迷惑行為が起きたとき、私たちはどうすればよいのでしょうか。

不満そうな顔だけでは、何も伝わらない

電車やバスから人が降りようとしているのに、大きなスーツケースを持った旅行客が我先にと乗り込んでくる。

その様子を見て、不満そうな顔をしながら、日本語で小さく文句を言う人もいます。

しかし、それでは相手には何も伝わりません。

旅行客から見れば、周囲の日本人が黙っているなら、「ここでは、この乗り方で問題ない」と受け取る可能性もあります。

日本のルールやマナーを事前に調べることは、本来、旅行者側の責任です。「知らなかった」で、すべてが許されるわけではありません。

一方で、日本独自の習慣や、言葉で説明されていない暗黙のルールまで、初めて日本を訪れた人がすべて理解するのは難しいのも事実です。

だからこそ、周囲にいる私たちがきちんと伝えてあげることも必要ではないでしょうか。

英語が流暢である必要はありません。

大切なのは相手を攻撃することではなく、「何が問題で、どうしてほしいのか」を具体的に伝えることです。

われわれも外国人のマナー違反に不満顔をしているだけではなく、お互いに良い関係になれるよう最低限の注意できる英語(世界共通語のデファクトスタンダードとして)を知っておくべきではないでしょうか。

ここからは、マナー違反を目にしたときに使える、短くて覚えやすい英語表現を場面別に紹介します。

① 駅やバス乗り場の通路で立ち止まっている

写真を撮ったり、スマートフォンで行き先を調べたりして、通路を塞いでいる場合です。

Excuse me. This is a walkway. Please keep moving.

すみません。ここは通路です。進んでください。

少し柔らかく伝えるなら、次の表現も使えます。

Excuse me. Could you move to the side, please?

すみません。端に寄っていただけますか。

「立ち止まらないでください」と叱るより、「端へ寄ってほしい」と具体的に伝えたほうが、相手も行動しやすくなります。

② 電車やバスで大声で会話している

Excuse me. Could you speak a little more quietly, please?

すみません。もう少し静かに話していただけますか。

さらに短く伝えるなら、こちらです。

Please keep your voice down.

声を小さくしてください。

感情的に言いたくなりそうですが、ここで「日本では静かにするのが普通です」などと余計な説明をする必要はありません。

公共の場での注意は、国籍ではなく、現在の行動に対して行うほうが伝わりやすく、余計な反発も招きにくくなります。

③ ゴミをその場に捨てた

Excuse me. Please don’t leave your trash here.

すみません。ここにゴミを置いていかないでください。

持ち帰ってほしい場合は、次の表現です。

Please take your trash with you.

ゴミは持ち帰ってください。

落としたことに気づいていない可能性があるなら、最初から強く責めず、こう伝える方法もあります。

Excuse me. You dropped this.

すみません。これを落としましたよ。

故意に捨てたのか、単に落としたのか分からない段階では、まず事実だけを伝えるのが無難です。

④ 行列に割り込んだ

Excuse me. There’s a line. Please go to the back.

すみません。列があります。最後尾に並んでください。

または、次の言い方でも伝わります。

Please wait your turn.

順番を守ってください。

行列への割り込みは世界で見ても一般的に好まれる行為ではありません。列があることと、どこへ並んでほしいのかをはっきり示すことが大切です。

指や手のひらで最後尾を示しながら伝えると、より理解されやすくなります。

⑤ 禁煙場所で喫煙している

Excuse me. Smoking is not allowed here.

すみません。ここは禁煙です。

指定の喫煙場所が分かるなら、次の一言を加えます。

Please use the smoking area.

喫煙所を利用してください。

日本では、自治体の条例や施設の規則によって、路上喫煙や歩きタバコが禁止されている場所があります。JNTOも旅行者に対し、指定された喫煙場所を利用するよう案内しています。

JNTO「Local Laws」

ただし、喫煙者に直接注意するとトラブルになる可能性もあります。相手が威圧的な場合や酒に酔っている場合は、無理に注意せず、施設の職員や警備員へ伝えましょう。

⑥ 神社やお寺で、その場所の決まりを守っていない

神社や寺院で帽子やサングラスを外すことは、敬意を示す行動のひとつです。

しかし、すべての神社仏閣で一律に禁止されているわけではありません。体調や宗教上の理由で着用している人もいます。

そのため、単に帽子をかぶっているという理由だけで、一般の参拝者が強く注意するのは避けたほうがよいでしょう。

明確な掲示や施設側の決まりがある場合は、次のように伝えます。

Excuse me. Please follow the rules of this temple.

すみません。このお寺の決まりを守ってください。

神社であれば、“temple”を“shrine”に変えます。

Excuse me. Please follow the rules of this shrine.

すみません。この神社の決まりを守ってください。

立入禁止場所に入っている場合は、こちらです。

Visitors are not allowed in this area.

この場所は立入禁止です。

神社仏閣では、一般の参拝者が独自の解釈で注意するより、掲示を示すか、職員、僧侶、神職などに知らせるほうが確実です。

⑦ 私道や住宅の敷地へ無断で入っている

Excuse me. This is private property. Please leave.

すみません。ここは私有地です。出てください。

立ち入る前なら、次の表現です。

Please don’t enter. This is private property.

入らないでください。ここは私有地です。

写真を撮るためであっても、個人宅や私有地へ無断で入ってよいわけではありません。

JNTOも旅行者に対して、私有地や地域住民の生活を尊重するよう案内しています。

JNTO「Traveling Mindfully」

自宅の敷地内など、明確な権利侵害が起きている場合は、スマートフォンの翻訳画面や、「PRIVATE PROPERTY」「NO ENTRY」と書かれた表示を見せる方法も有効です。

⑧ 歩道や道路を塞いで写真を撮っている

Excuse me. You’re blocking the way. Please step aside.

すみません。道を塞いでいます。横に寄ってください。

危険な場所にいる場合は、こちらです。

Please move. It’s dangerous here.

移動してください。ここは危険です。

車道での撮影など、すぐに事故につながる状況では、長い説明は必要ありません。

Please move!

Dangerous!

このような短い言葉だけでも構いません。

緊急性が高い場面では、英語としての美しさより、危険を確実に伝えることが優先です。

⑨ 電車やバスで大きな荷物を通路に置いている

Excuse me. Please keep your luggage out of the aisle.

すみません。荷物を通路に置かないでください。

“out of the way”でも通じますが、電車やバスの通路には“aisle”を使うと、より具体的です。

荷物置き場がある場合は、場所を示しながら伝えます。

Please put your luggage over there.

荷物はあちらに置いてください。

荷物をどこへ移動すればよいのか分からないこともあるため、可能であれば、置き場所まで示してあげるとスムーズです。

⑩ 撮影禁止エリアで写真を撮っている

Excuse me. Photography is not allowed in this area.

すみません。このエリアでは写真撮影が禁止されています。

動画撮影も含めたい場合は、次の表現が使えます。

Photos and videos are not allowed here.

ここでは写真と動画の撮影は禁止されています。

“Don’t take pictures!”でも意味は伝わりますが、命令口調が強くなります。

まずは掲示を指しながら、“Photography is not allowed here.”と事実を伝えるのがよいでしょう。

⑪ 店や施設で、順番を無視して店員へ話しかけた

Excuse me. There’s a line. Please wait your turn.

すみません。列があります。順番を待ってください。

自分が先に対応を受けていた場合は、こう伝えられます。

Excuse me. I was here first.

すみません。私が先です。

ただし、店員が状況を把握しているなら、客同士で言い争うより、店員に対応を任せるほうが安全です。

⑫ 降りる人を待たずに、電車やバスへ乗ろうとしている

Please let people get off first.

先に降りる人を通してください。

さらに短く言うなら、こちらです。

Please wait. People are getting off.

待ってください。降りる人がいます。

この場面では、長い文章を考えている時間はありません。

手のひらを軽く見せて“Please wait.”と言い、その後に“People are getting off.”と続ければ十分です。

⑬ 展示品や文化財に触っている

Excuse me. Please don’t touch that.

すみません。それには触れないでください。

掲示がある場合は、指で示しながら伝えます。

It says, “Do not touch.”

「触らないでください」と書かれています。

破損の危険がある場合は、無理に自分で止めようとせず、すぐに施設スタッフを呼びましょう。

とっさのときに使える基本表現

状況に合う英語がすぐに思い浮かばないときは、次の表現が使えます。

Excuse me. Please follow the rules.

すみません。ルールを守ってください。

Excuse me. That’s not allowed here.

すみません。それはここでは禁止されています。

Please stop. You’re disturbing other people.

やめてください。ほかの人の迷惑になっています。

Please check the sign.

掲示を確認してください。

最後の表現は特に便利です。

英語の注意書きや禁止マークがあれば、自分で詳しく説明しなくても、掲示を指して“Please check the sign.”と言えば伝わります。

注意するあまり、強い言葉が出てしまうこともある

日本人は直接注意することが苦手だといわれます。

その一方で、いざ注意しようとすると感情が先に立ち、必要以上に口調が強くなってしまうこともあります。

そんなとき、たまに耳にするのが、

This is Japan.

Not your country.

といった言葉です。

言いたいことは、「ここでは日本のルールを守ってほしい」ということでしょう。

ここは日本です。

ここはあなたの国ではありません。

という言い方も、意味自体は伝わります。

ただし、これらの表現はおすすめできません。

問題となっている行動ではなく、相手の国籍や出身そのものを責めているように聞こえるからです。

特に“This is not your country.”はかなり敵対的で、口論や差別問題に発展する可能性があります。

伝えるべきなのは、「あなたは外国人だ」ということではありません。

「その行動は禁止されている」

「ほかの人が困っている」

「ここでは、このルールを守ってほしい」

という具体的な内容です。

日本の習慣やルールを尊重してほしいと伝えるなら、こちらのほうが適切です。

Please respect the local rules and customs.

現地のルールや習慣を尊重してください。

もう少し短く、強めにはっきり伝えるなら、次の表現が使えます。

You need to follow the rules here.

ここではルールを守ってください。

“Here”には「この場所では」という意味が含まれています。

“This is Japan.”と言わなくても、その場のルールに従う必要があることは十分に伝わります。

実は重要な“Excuse me.”の言い方

ここまで読んだ方は、ほとんどの英文が“Excuse me.”で始まっていることに気づいたと思います。

“Excuse me.”は、謝罪だけを意味する言葉ではありません。

相手の注意を引き、「今からあなたに話します」と知らせるためにも使われます。

多くの日本人は遠慮するあまり、

「エクスキューズ・ミー……」

と、消え入るような声で話しかけてしまいがちです。

似た言葉のリズムでいえば、「ビビディ・バビディ・ブー」のような言い方です。

もちろん、その発音自体が間違っているわけではありません。

しかし、遠慮がちな声で語尾まで弱くしてしまうと、「ちょ、ちょっといいですか……」と自信なさそうに聞こえます。

雑踏の中では声そのものが届かず、自分に話しかけられていると気づいてもらえないこともあります。

ポイントは、弱々しく言わないことです。

怒鳴る必要はありませんが、相手の注意を引くときは、最後まではっきりと、相手に届く声で言います。

イメージしやすいイントネーションは、

“Are you hungry?”(アーユーハングリー?)

あるいは、浜崎あゆみさんがライブ会場へ呼びかける、

「アリーナー!」

です。

もちろん、会場に響き渡るほど叫ぶ必要はありません。

大切なのは、相手に声を届け、こちらを向いてもらうことです。

まず、

Excuse me.

とはっきり呼びかけ、相手がこちらを見てから、

There’s a line.

列があります。

Please keep your voice down.

声を小さくしてください。

Smoking is not allowed here.

ここは禁煙です。

と、状況に応じた言葉を続けます。

発音の美しさよりも、適切な声量、落ち着いた表情、指さしや手ぶりのほうが重要です。

完璧な英語を話そうとして黙ってしまうより、短い言葉でも、相手に届くようにはっきり伝えることが大切です。

「正しい注意」でも、無理をしてはいけない

相手がルールを破っているからといって、どのような状況でも直接注意すべきとは限りません。

次のような場合は、直接対決を避けてください。

  • 相手が酒に酔っている
  • 大人数の集団である
  • 興奮している、威圧的である
  • 暴力に発展する可能性がある
  • 車道や線路付近など、危険な場所である
  • 違法行為かどうか自分では判断できない

このような状況では、駅員、運転手、店員、施設スタッフ、警備員など、その場所を管理する人へ知らせましょう。

緊急性が高い事件や事故の場合は110番です。事件や事故には至っていないものの、警察へ相談したい場合は、警察相談専用電話「#9110」があります。

また、相手の顔を撮影してSNSへ投稿する行為にも注意が必要です。

事情が分からないまま個人を特定できる映像を拡散すれば、名誉やプライバシーをめぐる別のトラブルを生む可能性があります。

目的は、相手を懲らしめたり、SNSでさらしたりすることではありません。

迷惑行為を止め、必要なルールを守ってもらうことです。

日本のマナーは「察して」だけでは守られない

日本では、周囲の空気を読み、他人に迷惑をかけないよう行動することが重視されます。

しかし、

「見れば分かるだろう」

「普通は察するだろう」

という考え方は、文化や習慣の違う人には通用しないことがあります。

不満そうな顔をするだけ。

日本語で陰口を言うだけ。

後からSNSで怒るだけ。

それでは、目の前の相手には何も伝わりません。

もちろん、日本人が旅行客一人ひとりを教育する義務はありません。

自治体や観光施設、旅行会社、交通機関にも、多言語表示や分かりやすい案内を充実させる責任があります。

それでも、目の前で困っている人がいるとき、短い英語を一つ知っているだけで状況を変えられることがあります。

Excuse me. There’s a line.

列があります。

Please let people get off first.

先に降りる人を通してください。

Smoking is not allowed here.

ここは禁煙です。

完璧な英語でなくても構いません。

国籍ではなく行動に対して、短く、具体的に、はっきり伝える。

私たちが覚えておきたいのは、相手を言い負かすための英語ではありません。

旅行者と地域住民が同じ場所を気持ちよく利用するための、実用的な英語です。

私たち日本人も、かつては「マナーを知らない旅行者」だった

外国人旅行客のマナー違反について考えるとき、忘れてはいけないことがあります。

実は、私たち日本人も、海外で数多くのマナー違反や文化的なすれ違いを繰り返してきました。

特に、日本人の海外旅行が一般に広がった1970年代から1990年代にかけては、現地の習慣を知らない日本人観光客の振る舞いが批判されることも少なくありませんでした。

1985年のプラザ合意後に円高が進むと、日本人の海外旅行は急速に拡大しました。日本人出国者数は、1987年の約683万人から、1990年には約1,100万人に達しています。

トラベルボイス「海外渡航自由化50周年」

旅行者が一気に増えたことで、それまで海外経験のなかった人も、団体旅行などで外国を訪れるようになりました。

当時、海外で指摘された日本人観光客の行動として、次のような例があります。

ホテルで指摘されたこと

  • 室内用スリッパや部屋着のまま、廊下やロビーを歩く
  • 朝食会場へ部屋着などのくつろいだ格好で現れる
  • ベッドに慣れていないため、寝具を床へ移して寝る
  • 持ち帰ってはいけない備品まで、記念品のように持ち帰る

日本では、旅館の浴衣やスリッパで館内を歩くことも珍しくありません。

しかし、同じ感覚を海外のホテルへ持ち込むと、現地では「公共の場所にふさわしくない格好」と受け取られることがありました。

食事中に指摘されたこと

  • 麺類やスープを音を立ててすする
  • ナイフやフォークを使わず、箸を要求する
  • 食器を鳴らしたり、大きな音を立てたりする
  • 団体で集まり、大声で会話しながら食事をする

麺をすすることは、日本では必ずしもマナー違反ではありません。

しかし、音を立てて食べることを不快と感じる地域もあります。

つまり、日本では自然な行動でも、場所が変われば「行儀が悪い」と見られることがあるのです。

移動中や公共の場所で指摘されたこと

  • 飛行機内で酒を飲み、大声で騒ぐ
  • 酒に酔って客室乗務員へ不適切な言動をする
  • 大人数の団体で固まって移動し、通路を塞ぐ
  • 公共交通機関で大声で話したり、はしゃいだりする

現在、私たちが訪日団体客を見て、「集団で通路を塞いでいる」「周囲を見ずに大声で話している」と感じることがあります。

しかし、かつて海外へ出た日本人の団体旅行も、現地の人から同じように見られていました。

中小企業基盤整備機構のJ-Net21も、国籍を問わず、団体旅行では集団内部へ意識が向き、周囲のルールやマナーへの配慮が欠けやすくなると解説しています。

J-Net21「外国人旅行者のマナーと日本人客との摩擦への対策方法」

写真撮影で指摘されたこと

  • 場所を選ばず、集団でポーズを取って撮影する
  • 現地の人を許可なく撮影する
  • 撮影に夢中になって通路や出入口を塞ぐ
  • 住宅地や市場などで、生活している人への配慮なく撮影する

カメラを持った日本人観光客の姿は、かつて海外で日本人旅行者を象徴するイメージのひとつでした。

「珍しいから撮りたい」

「旅の思い出として残したい」

という気持ちに悪意はありません。

それでも、撮られる側や、その場所で生活する人にとっては、迷惑になることがあります。

文化や習慣の違いによるすれ違い

  • 公共の場所で靴を脱ぐ
  • 意見をはっきり言わず、曖昧に返事をする
  • 団体だけで固まり、現地の人と関わろうとしない
  • 土産物やブランド品を大量にまとめ買いする
  • 日本国内と同じ感覚で店員やサービスに接する

こうした行動も、必ずしも悪意から生まれたものではありません。

「日本では普通だったことを、海外でもそのまま行った」

その結果として、現地の人から無礼、非常識、マナー違反だと受け取られてしまったのです。

当時の日本人観光客について、1980年代の米誌『TIME』が「新しい野蛮人」と表現したと紹介する報道もあります。

また、「観光摩擦」という言葉も、海外旅行中の日本人と現地社会との文化的な衝突を語る際に使われていました。

ただし、ここで言いたいのは、「日本人も昔は悪かったのだから、現在のマナー違反を我慢しよう」ということではありません。

迷惑な行為は、誰が行っても迷惑です。

危険な行為や明確なルール違反には、国籍を問わず対応する必要があります。

一方で、「外国人だからマナーが悪い」と決めつけるのも適切ではありません。

旅行者のマナー違反は、本人の性格だけでなく、文化や習慣の違い、案内表示の不足、ルールを知らないことなど、さまざまな理由から起こります。

日本交通公社も、旅先でのマナー違反は日本人を含むどの旅行者にも起こり得ると指摘しています。

日本交通公社「外国人旅行者のマナーについて」

現在の日本人旅行者のマナーが以前より改善したとすれば、それは日本人だけが特別に行儀のよい民族だからではありません。

海外旅行の経験を重ね、現地の人から注意を受け、旅行会社やメディアからマナーを教えられ、少しずつ異文化への理解を深めてきた結果です。

だからこそ、私たちが目指すべきなのは、相手を国籍で責めることではありません。

問題となっている行動を具体的に指摘し、何をしてほしいのかを、短く、はっきり伝えることです。

Excuse me. There’s a line.

列があります。

Please let people get off first.

先に降りる人を通してください。

Please respect the local rules.

この場所のルールを尊重してください。

かつて海外の人々が、海外旅行に慣れていなかった日本人へルールを伝えてくれたように、私たちも必要なことを適切に伝えていく。

相手の文化的な背景を理解しながら、守るべきことはきちんと伝える。

それが、旅行者と地域住民の双方が気持ちよく過ごせる場所をつくるために、私たち一人ひとりができる「インバウンド対策」ではないでしょうか。